土地の相続登記で条件を満たせば登録免許税が免税(租税特別措置法第84条の2の3第2項)
相続による土地の所有権移転登記を受ける場合に、当該土地が市街化区域外にある土地で、市町村の行政目的のため相続による土地の所有権移転登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価格が10万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日から令和3年3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権移転登記について、登録免許税を課さないこととされています。
相続登記が未了のまま放置され、所有者不明土地を生じさせないようにするための措置で、相続登記に係る登録免許税を非課税とすることで相続登記の促進を図ろうとするものです。
免税措置を受ける要件(すべてを満たす必要あり)
- 平成30年11月15日から令和3年3月31日までの間に相続登記を受ける場合であること
- 当該土地が市街化区域外にあり、市町村の行政目的のため相続による土地の所有権移転登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定した土地であること(法務局ホームページ等で対象土地について法務大臣が指定しているかどうかを確認する必要があります)
- 不動産の土地の価格が10万円以下であること
※共有持分の相続による持分全部移転登記の場合は、土地全体の課税価格に今回移転する被相続人の持分の割合を乗じた価格が10万円以下であれば、非課税の適用を受けられます。
当事務所でも実際に手続きしました
今回、ある土地について相続による所有権移転登記の手続きをすることとなり、この非課税の適用を受けられるのではと思い法務局ホームページで調べてみたところ、不動産所在地の町全体が非課税の対象範囲になっていました。また、登記する全ての土地の価格が10万円以下で、上記の①から③の要件を全て具備していたため、この制度を利用して申請することとなりました。
通常の相続登記と違う点
申請情報に「登録免許税 租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」といった具合に記載します。 また、複数の土地のうち一部のみが非課税の対象である場合には「登録免許税 金○万円 一部の土地(○○市○○大字○○1番1の土地)について租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」)といった記載となります。
特別な添付書類の要否
租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用を受けるための特段の証明書類は要しないとされています。なので上記②の法務大臣が当該土地を指定したことを証する書面も添付する必要はありません。
免税措置は期間限定のため、この機会を利用してみてはいかがでしょうか
以前ブログで書いた「所有者不明土地の相続人調査」が、現時点でもなかなか進まず苦労していますが、上記の租税特別措置法第84条の2の3第2項の免税措置を使って相続登記が促進され、将来的に所有者不明になってしまう土地が少しでも減ってくれればと願うばかりです。