「合併による所有権登記」に「受付年月日・受付番号」の記載がない!
売買などを原因とする所有権移転登記や、住宅ローンを借りた際に行う抵当権設定登記の際、不動産の所有者は登記識別情報(登記済証)を法務局に提供する必要があります。
先日、所有権移転登記の準備で登記事項証明書を確認していたところ、登記の目的が「合併による所有権登記」となっている土地がありました。
通常、「合併」ときくと会社と会社を1つにする合併を連想しますが、今回の「合併」は土地と土地を1つにする「合筆」があったことを意味しています。
土地の合筆をした際の登記事項証明書の記載例
この「合併による所有権登記」は表題部を変更する登記で、司法書士ではなく、通常は、土地家屋調査士の申請によってなされます。
例として、「1番1」の土地に、「1番2」の土地を合筆したとすると、以下のような登記事項証明書の記載となります。
この「合併による所有権登記」によって、権利部の「受付年月日・受付番号」の欄には、受付年月日、受付番号がそれぞれ記載され、土地所有者に対して新たに登記識別情報(権利証)が通知されます。
今後、この土地の所有者が所有権移転登記や抵当権設定登記を申請する時は、
- 「合併による所有権登記」によって通知された登記識別情報
- 合筆前の全部の土地の登記識別情報(上の例だと「1番1」と「1番2」の両土地を取得した際に通知された登記識別情報)
上記 1. 2. いずれかの登記識別情報を法務局に提供することとなります。
「余白」と記載されているケースの場合
しかし、今回の「合併による所有権登記」には、以下のように「受付年月日・受付番号」の記載がなく、「余白」と記載されているのみでした。
先ほどの登記事項証明書とは、「受付年月日・受付番号」の記載がないことのほか、表題部に「国土調査による成果」との記載があるところに違いがあります。
これは、国土調査によって登記官が職権で「合併による所有権登記」(合筆の登記)をしているため、新たに登記識別情報の通知がされていないことを意味しています。
なので今後、この土地の所有者が所有権移転登記や抵当権設定登記を申請する時は、合筆前の全部の土地の登記識別情報の提供が必要となります。
上の例だと「1番1」と「1番2」の両土地を取得した際に通知された登記識別情報を提供することとなります。
また、登記事項証明書には「受付年月日・受付番号」の記載がなく、土地所有者の登記識別情報(登記済証)を見ても「受付年月日・受付番号」の確認ができないため、事前に法務局で両土地の閉鎖登記事項証明書(閉鎖登記簿謄本)を取得しておく必要があります。
合筆前の全部の土地の登記識別情報(登記済証)のお預かり、閉鎖登記簿謄本の取得など、少し手間のかかる登記でしたが、問題なく無事に完了しました。「合併による所有権登記」、「受付年月日・受付番号」の記載がないときは要注意ですね!!