債務関連でお困りの方へ(新型コロナウイルス)

現在、新型コロナウイルスによる経済活動自粛によって、私たちの生活に影響が広がっております。

4月初めの情報になりますが、特に債務関係でお困りの方へ政府からの情報を含めてかんたんにお知らせいたします。

借金等の返済が困難になった場合

法務省より「新型コロナウイルス感染症の影響により借金等の返済が困難となった方へ」とのお知らせが同省WEBサイトで公開されています。裁判所を通じて個人または法人が今までの債務を整理して生活を立て直したい場合の方策について3つの方法を提示しています(同サイトより要約抜粋)。

  1. 特定調停手続 ・・・調停委員会の仲介のもと、債務者と債権者が借金等の減免や返済方法などについて話し合い、将来の返済計画を決めていく手続き。当事者同士の話し合いによる債務整理手続きであることから、迅速かつ柔軟な解決が可能。
  2. 再生手続 ・・・債務者の借金等の額を確定し、将来の借金等の支払計画(再生計画)を定めることにより、債務者が再生計画に従って債務の弁済を行いながら事業の再建を図る手続き。借金等の返済を行いながら事業を継続したい方が選択する手続きといえます。
  3. 破産手続 ・・・債務者の全財産を充当しても借金等を返済できなくなった場合、債務者の財産を金銭に換えて債権者に公平に分配する手続き。残った借金等の支払義務を免除する免責制度を併用することで、これまでの借金をゼロにして再出発が図れる手続きです。

そのほか、借金の金額が比較的少ない方へは、裁判所を介さなくて済む「任意整理」があります。

任意整理とは、債務整理手続きの一種で、債務者が債権者と直接交渉し、利息制限法などを用いて借金総額の減額を図る手続きです。メリットは複雑な手続きは不要、公にならないなどがあります。その反面、信用情報機関の信用情報に事故情報が載る(いわゆるブラックリストのこと)、自己破産などに比べると借金減額の効果は少ないなどのデメリットもあります。

住宅ローンの返済が困難になった場合

金融庁から、「新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りやローンの返済等でお困りの皆様へ」というリーフレットが3月30日に公表されています。金融庁から金融機関へ、事業者の状況に応じ、既往債務に対する返済猶予や条件変更に柔軟に対応するよう要請をしていることから、積極的に取引銀行へ相談するよう促しています。

住宅金融支援機構では、住宅ローンの返済が困難になっている方に対し、今後の返済に関する相談を受け付けています。

諸条件が設けられているようですので詳しくは同機構「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」をご覧ください。

また、各金融機関によって返済条件の変更等の施策が講じられている可能性がありますので、取引先の金融機関に一度ご相談されることをおすすめいたします。

相続放棄について

相続放棄をする場合は、原則、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄の申し立てを行う必要があります。この期間を熟慮期間といいます。

法務省では、この熟慮期間の延長をするために「新型コロナウイルス感染症に関連して,相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ」のページで、家庭裁判所に申し立てすることができると説明しています。家庭裁判所への申し立てをしないまま、この期間内に相続放棄や限定承認をしなかったときは、単純承認(被相続人の財産や債務をすべて引き継ぐ)をしたものとみなされます。したがって、熟慮期間を延長したい場合は必ず3ヶ月以内に申し立てをしないといけませんので注意が必要です。

以上、4月初めごろの情報をまとめましたが、緊急事態ですので日々情報は更新されていきます。常に最新情報のご確認をお願い申し上げます。

また、法テラスでも各種Q&Aがありますので、こちらも是非ご活用ください。

法テラス(日本司法支援センター)

新型コロナウイルス感染症Q&A
電話:0570-078374 /IP電話から:03-6745-5600 【平日9~17時】