債権法、約120年ぶりの大改正

 令和2年4月1日、民法のうち債権関係の規定が約120年ぶりに大改正されます。

今回の改正では、取引社会を支える契約に関する規定の多くが改正されるため、私たちの日常生活や経済活動にも大きく影響してきます。

 また司法書士の実務への影響も大きく、中でも不動産登記においては「登記原因証明情報」や「登記申請書」といった法務局へ提出する書類の記載内容も変わってくるため、改正をテーマにした研修や参考書などで事前に情報を収集しておくことが必要となってきます。

 先日も、「民法(債権法)改正が登記原因証明情報に与える影響」という研修に参加してきました。

 その中で、印象に残った「連帯債権」について書いておこうと思います。

 現在の民法には明文の規定がなかった「連帯債権」の規定が、改正民法432条~435条の2で新設されました。参考までに、民法432条の条文は以下のとおりです。

(連帯債権者による履行の請求等)
 第432条

 債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。

 例えば、A及びBをお金の貸主(債権者)、Cをお金の借主(債務者)として100万円のお金を貸す契約(金銭消費貸借契約)を締結し、ABC間で連帯債権とする旨の特約(今回、権利を有する部分はA及びBともに各50万円)をした場合、各債権者A及びBは全ての債権者のために、債務者Cに対して100万円全部又は一部の履行を請求することができ、また、債務者Cは全ての債権者のためにAに対してもBに対しても履行をすることができるというものです。

 また、債務者C所有の土地に、上記の連帯債権を被担保債権とする抵当権の設定をする場合、登記原因証明情報には、金銭消費貸借により発生する貸金債権を連帯債権にする旨、及び抵当権者A及びBの権利を有する部分の保有割合(持分2分の1A、2分の1Bなど)を記載することとなります。

 今のところ、細かい内容については通達等が出ていないため、変更が生じることもあろうかと思いますが、これから出てくる通達等の情報に注意して、混乱なく改正に対応できるよう準備していきたいものです。